H30後保育の心理学一覧

H30後:保育の心理学①

平成30年度後期試験 保育の心理学 問1
 次の文は、子ども理解や発達観に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. 保育における子ども理解は、子どもの発達観に大きく影響されており、発達過程論から発達段階論へと転換されてきている。 →×
  2. レイヴとウェンガー(Lave, J. & Wenger, E.)の正統的周辺参加論(1991)に基づくと、保育者の関わりや保育者と子どもとの関係が問われている。 →〇
  3. 行動主義理論においては、保育者が行動を変容させる技法を用いて、適切な行動を形成すると考えられている。 →〇
  4. 成熟主義理論では、子どもの生得的能力が自然に展開するので、保育者はできる限り関わりを控えるべきであるとしている。 →×

正答:3 × ○ ○ ×


H30後:保育の心理学②

平成30年度後期試験 保育の心理学 問2
 次の文は、乳幼児期の言葉の発達に関する記述である。下線部分の心理学用語が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. 機嫌のよいときに、喉の奥からやわらかい声を出すようになる。これを喃語という。大人に比べて喉は狭く舌を動かす範囲も狭いので、言葉を話すためには、喉や口腔機能などの発達も必要である。 →×
  2. 1歳半を過ぎ、自発的に表現できる単語数が 50 語を超えた頃に、急激に語彙が増える。これを語彙般化という。 →×
  3. 「ママ」は単語であるが、発話場面では状況に応じて「ママがいない」「ママのくつだ」のように、文と同じように様々な意味を相手に伝えている。これを一語文という。 →〇
  4. 1歳頃、初語という意味のある言葉を話し始める。これらは「マンマ」「ブーブー」など発音しやすい言葉で、身近な人やものに関わる名詞が多い。 →〇

正答:4 × × ○ ○


H30後:保育の心理学③

平成30年度後期試験 保育の心理学 問3
 次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の用語を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】

  1. 保育者と新生児や乳児の間には、生まれて間もない時期から同調的な相互作用がみられる。例えば、保育者が話しかけると、新生児はその話しかけに反応するように同期して自分の身体を動かす。 →エントレインメント
  2. 新生児や乳児は、生まれて間もない時期から、人の声や顔などに特に敏感に反応し、なかでも他者の感情には敏感に反応する。例えば、新生児でも、他児の泣き声を聞くとつられて泣き出すことがある。 →情動伝染
  3. 新生児や乳児が大人の表情や動作と同様の反応を示す現象がある。例えば、向かい合って口を開けたり、舌を出したりする保育者の動きをじっと見ていた新生児が、しばらくすると、同じような動きをする。 →共鳴動作
  4. 保育者と乳児の間では、言葉を話し始める前から、コミュニケーションが成立している。例えば、生後9か月頃になると、保育者の視線を追い、保育者が見ているものに目を向けることができるようになる。 →共同注意

【Ⅱ群】
ア 情動伝染
イ 共同注意
ウ エントレインメント
エ 共鳴動作

正答:5 ウ ア エ イ


H30後:保育の心理学④

平成30年度後期試験 保育の心理学 問4
 次の文は、乳幼児期の自己の発達に関する記述である。初期から発達の順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. 大人が自分の意図したように行動しないと、かんしゃくを起こすことがみられるようになる。
  2. 一人ずつ順番に名前を呼ばれる場面では、自分の名前に対してのみ応える。
  3. 自分の手や足の指をしゃぶる感覚を経験することによって、身体的自己を発見する。
  4. 鏡に映った自分の姿を「自分である」と理解できるようになる。

正答:4 C→A→B→D


H30後:保育の心理学⑤

平成30年度後期試験 保育の心理学 問5
 次の文は、ピアジェ(Piaget, J.)の認知発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. 物や現象の一部に注意が集中し、同時にいくつかの側面に注意を向けることが難しいことを脱中心化と呼んだ。 →×
  2. 自己中心性とは、他者の視点に自分が立ったり、自分と他者の相互関係を捉えたりすることが難しいことを意味する。 →〇
  3. 特に幼児では自他未分化のため、自分の視点や経験にとらわれて、ものごとを判断してしまうと考えた。 →〇
  4. 幼児期には、遊びの活動に伴ってリズミカルに繰り返される独語(ひとり言)が多く発せられるが、それは思考機能をもつことを実証した。 →×

正答:4 × ○ ○ ×


H30後:保育の心理学⑥

平成30年度後期試験 保育の心理学 問6
 次の文は、「保育所保育指針」(厚生労働省告示第 117 号平成 29 年3月 31 日)第4章「子育て支援」の(1)「保護者との相互理解」の一部である。(A )〜(E )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • (A 日常の保育に関連した様々な機会)を活用し子どもの日々の様子の(B 伝達や収集)、保育所保育の(C 意図の説明)などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めること。
  • 保育の活動に対する(D 保護者の積極的な参)は、保護者の子育てを(E 自ら実践する力の向上)に寄与することから、これを促すこと。

【語群】
ア 意図の説明            イ 行事や特別な催しなどの機会
ウ 積み重ねと発達過程        エ 伝達や収集
オ 日常の保育に関連した様々な機会  カ 子ども理解
キ 個別に配慮した実践        ク 特性を生かした支援
ケ 保護者の積極的な参加       コ 自ら実践する力の向上
正答:5 オ エ ア ケ コ


H30後:保育の心理学⑦

平成30年度後期試験 保育の心理学 問7
 次の文は、乳児期の微細運動の典型的な発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. ガラガラなどのおもちゃを両手に持たせると、持っていられるようになるのは3〜4か月頃、自発的におもちゃに手を伸ばすようになるのは4〜5か月頃である。 →〇
  2. 6〜7か月頃には、小さな物を5本の指を全部使って引き寄せてつかもうとし、8〜9か月頃には、親指と人差し指の2本だけでつまんで持ち上げることができるようになる。 →×
  3. 6か月頃には、両手に持った物を一方の手に持ち替え、また両手で持って、次にはもう一方の手へという持ち替えを盛んに行う。 →〇
  4. 満1歳を過ぎると、ティッシュを繰り返し取り出したり、複数の積み木を寄せ集めたりすることがみられるようになる。 →×

正答:3 ○ × ○ ×


H30後:保育の心理学⑧

平成30年度後期試験 保育の心理学 問8
 次の文は、乳児の泣きへの対応に関する記述である。(A )〜(D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。

乳児は泣くことで「不快」と訴えると、保育者が状況を「快」に変えるという繰り返しが(A 安心感)につながる。周囲の安全を全身で感じ保育者の温かい対応に喜び、次々と(B サイン)を出そうとする。その(B サイン)を確実に読み取り、適確に応えることが人と関わろうとする意欲を育むことになり、(C 基本的信頼)と呼ばれる生涯の心の在り方の基本が根づくことになる。重要なことは、乳児の(B サイン)に応えることが保育者の喜びともなることであり、それは快感情の共有であり、(D 会話)の原型である。

【語群】
ア 安心感  イ 充実感  ウ サイン  エ 叫喚  オ 基本的信頼
カ 自尊心  キ ターン・テイキング   ク 会話
正答:2 ア ウ オ ク


H30後:保育の心理学⑨

平成30年度後期試験 保育の心理学 問9
 次の文は、スクリプトについての記述である。(A )〜(D )の語句が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

スクリプトとは、日常的なできごとに関する(A 知識構造 →〇)の一種であり、特定の行動について、そこに含まれる事象や行為が(B 時間的・空間的 →〇)に表現される。例えば「レストランでの食事」という場面における行為としては、店に入る、注文する、食事をする、支払いをする、店を出るというように(C 対比的 →×)に生起する一連の典型的な場面と行為が考えられる。スクリプトでは、このような一連の行為が、登場人物や小道具類などと共に生起する順に(D 水路づけ →×)され、スロットを埋めるような形で表象されていると仮定される。
正答:1 ○ ○ × ×


H30後:保育の心理学⑪

平成30年度後期試験 保育の心理学 問 11
 次の文は、ある発達理論に関する記述である。(A )〜(E )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。

教育と心的機能の発達の相互作用に関する理論の中で、(A ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.))は、2つの発達水準を区別することができると提唱した。すなわち、問題解決の場面で子どもが自力で解決できる既に(B 完成した)水準と、大人の援助や指導によって解決が可能となる(C 成熟しつつある)水準である。この2つの発達水準の差の範囲を(D 発達の最近接領域)と呼んだ。(E 教育的働きかけ)はこの範囲に対してなされなければ子どもの発達に貢献できないし、また、教育は(D 発達の最近接領域)をつくりだすように配慮しなければならない。

【語群】
ア キャンポス(Campos, J.J.) イ ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.)
ウ 成熟しつつある       エ 完成した
オ 誘導的働きかけ       カ 発達の最近接領域
キ 教育的働きかけ       ク 固有の知識領域
正答:4 イ エ ウ カ キ


H30後:保育の心理学⑫

平成30年度後期試験 保育の心理学 問 12
 次の文は、知能に関する理論の記述である。この理論を提唱した人物として正しいものを一つ選びなさい。

人の知能として、すべての活動に共通する知能というものは想定せず、少なくとも8つの異なる知能が存在すると考えている。これらの8つの知能は独立してはいるものの、例えば作文を書くことは言語的知能が関わる活動であると同時に、読み手や書き手により書き方を調整するといった個人間知能や、何を伝えたいかを明確にする個人内知能とも関係する。

  1. バルテス(Baltes, P.B.)
  2. サメロフ(Sameroff, A.J.)
  3. ガードナー(Gardner, H.) →〇
  4. ロッター(Rotter, J.B.)
  5. モレノ(Moreno, J.L.)

正答:3


H30後:保育の心理学⑬

平成30年度後期試験 保育の心理学 問 13
 次の文は、中年期の特徴に関する記述である。(A )〜(D )の下線部分が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
中年期は人生の最盛期と捉えられてきたが、(A ×)1980 年代以降では中年期に大きな変化が生じるという見方が受け入れられるようになっている。その変容としては、(B )身体的変化、心理的変化、家族における変化のほか、職業における変化がある。例えば、家族のライフサイクルという視点からは、(C )中年期の女性には、「空の巣症候群」という、子どもの親離れに伴う問題がみられる。こうした背景から、(D ×)厚生労働省の平成 27 年の調査によると、パートナーとして親密な関係を築いてこなかったために、同居年数 20 年以上の別居が急増していると考えられる。
正答:4 × ○ ○ ×


H30後:保育の心理学⑭

平成30年度後期試験 保育の心理学 問 14
 次の基本的生活習慣の形成に関する【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の用語を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】

  1. 偶然にジャンパーのチャックを閉めることができた時を捉えて、保育者が「すごーい。できたね」とほめることを繰り返すと、じきに自分でジャンパーのチャックを閉めることができるようになった。 →強化
  2. 「靴下をはく」という行動を、足が入るように靴下を広げる、つま先を靴下の中に入れる、靴下をかかとまで引っ張る、靴下をかかとから上まで引き上げる、という動作に分ける。 →課題分析
  3. 立ったまま、ズボンをはこうとして、ズボンの片方に足を2本入れた。もう一度試したら前後逆になった。今度は床に座ってはいたら足が1本ずつ入り、はけた。 →試行錯誤
  4. トレーナーの後ろ前が分からないので、着る時には保育者が、そのまま頭と手を入れたら着られるような向きにトレーナーを床に置くことを繰り返すと、じきにトレーナーの前後が分かり、一人で着ることができるようになった。 →足場づくり

【Ⅱ群】
ア 足場づくり
イ 強化
ウ 試行錯誤
エ 課題分析
正答:5 イ エ ウ ア


H30後:保育の心理学⑮

平成30年度後期試験 保育の心理学 問 15
 次の文は、保育におけるグループ編成についての記述である。(A )〜(D )にあてはまる語句の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。

  • 保育士は(A 年齢・月齢)に応じて、比較的少人数から大きい規模の編成まで、様々な大きさのグループを編成する。
  • 幼児の主体的な活動である遊びは、他児との関わりの中で深まり、豊かになる。そのため保育士には、(B  一人一人)を生かしたグループを編成しながら、人と関わる力を育てていくようにすることが求められている。
  • (C カリキュラム)に応じたグループ活動のように保育士の裁量によってグループを編成することもある。例えば、劇や表現遊びのような活動では、技能や力、パーソナリティなどを考慮して編成する。
  • 発達には個人差があるので、グループ内で様々な圧力や緊張が生じ、時には特定の子どもを排除しようとする動きが生ずることがある。こうした(D グループダイナミクス)を配慮したグループの編成を、保育士は求められることもある。

(組み合わせ)
A B C D

  1. 年齢・月齢 カリキュラム グループダイナミクス 一人一人
  2. グループダイナミクス 年齢・月齢 一人一人 カリキュラム
  3. 年齢・月齢 一人一人 カリキュラム グループダイナミクス
  4. カリキュラム 一人一人 グループダイナミクス 年齢・月齢
  5. カリキュラム グループダイナミクス 一人一人 年齢・月齢

正答:3


H30後:保育の心理学⑯

平成30年度後期試験 保育の心理学 問 16
 次の2歳児の【事例】を読んで、以下の【設問】に答えなさい。

【事例】
Gちゃん(男児)の「ダメだよー!」の声が響き、保育士が行ってみると「Hちゃん(男児)が取っちゃったよー」と保育士に訴える。ブロックの中でも縦に長い形のものが人気で、よく取り合いになっている。「せんせい、Hちゃんは貸してっていわなかったよ!」とGちゃんは言う。Hちゃんはまずいなーという困った表情でいる。保育士が「Gちゃん、Hちゃんはね、これがとっても欲しかったけれど、貸してって言えなかったみたいなの。ごめんね。でも、これ、違う色ならもう一つあるから、Hちゃんに貸してくれる?」と聞くと、「いいよー!」とGちゃんは快く承諾した。そしてHちゃんはニコニコ顔になった。「Gちゃんが貸してくれるって。優しいね。こういうときHちゃんは何て言うのかなあ?」と聞くと、Hちゃんは「ありがとう!」と元気な声で叫んだ。

【設問】
次の文のうち、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. 相手が自分と同じように「思いをもつ」存在であることに気づくように援助する。 →〇
  2. 2歳児なりに相手に歩みよることも必要であることを経験する。 →〇
  3. 子ども同士のトラブルは仲間関係の形成に望ましくないため、避ける配慮が必要である。 →×
  4. 2歳児の表現を、保育士は補い代弁し、「仲立ち」する必要がある。 →〇
  5. 2歳児なりに自分の欲求をあくまで自分で解決しなくてはいけないことを経験する。 →×

正答:2 ○ ○ × ○ ×


H30後:保育の心理学⑰

平成30年度後期試験 保育の心理学 問 17 
次の文は、ペアレントトレーニングに関する記述である。(A )〜(C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
ペアレントトレーニングとは、応用行動分析学や(A 行動療法)の考え方を基礎にして、養育者が(B 子育て)に関するより適切なスキルを獲得するためのプログラムである。(C ロールプレイ)やモデリングやホームワークといった積極的なワークから構成される。

【語群】
ア 音楽療法  イ 行動療法  ウ 子育て  エ 学習
オ コミュニケーション     カ ロールプレイ
正答:3 イ ウ カ


H30後:保育の心理学⑲

平成30年度後期試験 保育の心理学 問 19
 次のA〜Dのうち、乳幼児期における愛着の形成が影響を与える社会・情緒的発達の領域として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. 自己概念 →〇
  2. 友達関係 →〇
  3. 感情の理解の能力 →〇
  4. 感情の調節能力 →〇

正答:1 ○ ○ ○ ○


H30後:保育の心理学⑱

平成30年度後期試験 保育の心理学 問 18
 次の文は、子どもの成長に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. ヒトの脳の発達は、可塑性(変化できる力)が強いため、認知・言語、社会・情緒的発達には、感受期(脳の発達に対して経験の影響が特に強い時期)は存在しない。 →×
  2. 環境的要因が種々のパーソナリティ要素の形成に影響を与える強さは、遺伝的要因より圧倒的に強い。 →×
  3. 月齢5か月の子どもが、見知らぬ人の関わりに笑顔で応えた場合、無差別的愛着と推測され、愛着形成の問題を懸念する必要がある。 →×
  4. 子どもが幼児期までに聞いている言葉の数の総数は、環境によって大きな差が生じるが、この差は9、10 歳での読字理解や言語テストの結果に影響を与える。 →〇

正答:5 × × × ○


H30後:保育の心理学⑳

平成30年度後期試験 保育の心理学 問 20
 保育士が保育所嘱託の児童精神科医に対して、担当児についてのコンサルテーションを行う際に必要な情報として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. 年齢・性別 →〇
  2. 家族構成 →〇
  3. 気になる行動 →〇
  4. 保育所でのアセスメント →〇

正答:1 ○ ○ ○ ○