平成30年度前期試験 保育の心理学 問2
次の文は、認知発達のメカニズムに関する記述である。【Ⅰ群】の人名及び用語と、【Ⅱ群】の内容を結びつけた場合の適切な組み合わせを一つ選びなさい。【Ⅰ群】
- ケーラーの洞察
- パブロフのレスポンデント条件付け
- バンデューラの観察学習
- スキナーのオペラント条件付け
【Ⅱ群】
ア レモンを思い浮かべただけで、唾液が出てきた。 →パブロフのレスポンデント条件付け
イ 背伸びしても届かない所に置かれた玩具を取ろうとしていた子どもが、突然ひらめいたように、箱を踏み台として使った。 →ケーラーの洞察
ウ 正義の味方が活躍するテレビ番組が放送された翌日には、クラスでヒーローごっこが、いつもより盛んに行われた。 →バンデューラの観察学習
エ ラジオ体操に参加するとスタンプがもらえるので、休まずに参加した。 →スキナーのオペラント条件付け正答:2 イ ア ウ エ
「保育の心理学」一覧
H30前:保育の心理学③
平成30年度前期試験 保育の心理学 問3
次の文は、子ども同士のトラブルに関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 3歳頃に物や場所の取り合いによるトラブルが多いのは、自分の思いを言葉で表現することが十分にできないことが原因の一つであると考えられる。 →○
- 子ども同士のトラブルへの保育士の対応として、どのような場合も見守る・待つ姿勢が大切である。 →×
- ルールを守らないことによるトラブルが5歳頃に多く生じるのは、集団での遊びが活発になってきていることが一つの要因と考えられる。 →○
- 子ども同士のトラブルへの対応として、5歳頃では、保育士は直接的に関与することはない。 →×
正答:3 ○ × ○ ×
H30前:保育の心理学④
平成30年度前期試験 保育の心理学 問4
次の説明及び図は、環境閾値説に関するものである。( ア )~( エ )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
説明
ジェンセン(Jensen, A.R.)は、心身の諸特質の( ア 遺伝的可能性)が顕在化するのに必要な( イ 環境条件)の質や量は、その特性によってそれぞれ違いがあり、各特性に固有な一定の水準(閾値)があるという見解を述べている。その見解によると特性Aは、極端に不適切な環境でないかぎり、ほぼ完全に発達の可能性が現れる。特性Bは、( ウ 知能検査の成績)などがこれにあたり、中程度の環境条件が閾値となるものである。特性Cは、環境条件にほぼ比例して発達の可能性が顕在化するもので、( エ 学業成績)などがこれに当たる。特性Dは、きわめて可能性が好適的な環境条件や特別な教育訓練によって、はじめて顕在化するものである。
図 ジェンセンの環境閾値説の解説図
(組み合わせ)
ア イ ウ エ
1 遺伝的可能性 環境条件 学業成績 知能検査の成績
2 遺伝的可能性 相互作用 知能検査の成績 学業成績
3 環境条件 相互作用 知能検査の成績 学業成績
4 ○遺伝的可能性 環境条件 知能検査の成績 学業成績
5 環境条件 相互作用 学業成績 知能検査の成績
正答:4
H30前:保育の心理学⑤
平成30年度前期試験 保育の心理学 問5
次の文は、乳児期の発達に関する記述である。(A)~(D)にあてはまる語句の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
- (A 歩行)ができるようになると、自らの意志で自由に探索行動をするようになる。
- 舌、唇、あごの筋肉を協調して動かすことができるようになると、(B 喃語)が出現する。
- (C 物の永続性)を獲得すると、遊んでいたおもちゃを隠されて見えなくても存在していることを理解している。
- 快・不快の表出から、次第に、喜び、悲しみ、嫌悪、(D 怒り)など、感情表出が豊かになる。
(組み合わせ)
A B C D
1 歩行 クーイング アニミズム 怒り
2 歩行 喃語 アニミズム 恥
3 座位 喃語 アニミズム 怒り
4 歩行 喃語 物の永続性 怒り
5 座位 クーイング 物の永続性 恥
正答:4
H30前:保育の心理学⑥
平成30年度前期試験 保育の心理学 問6
次の文は、ピアジェ(Piaget, J.)による感覚運動期に関する記述である。【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の内容を結びつけた場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
- 第1次循環反応
- 第2次循環反応
- 第3次循環反応
【Ⅱ群】
ア ついたての後ろにおもちゃを隠すと、おもちゃを取るために、ついたてを取り除く。
イ テーブルの上にある積み木をつかみ、床に落としたあと、別の積み木を違うやり方で投げてみるなど、いろいろ試してみる。 →第3次循環反応
ウ 偶然自分の指が口に触れ、吸ってみた子どもが、そのことに興味があるというように繰り返し同じことをする。 →第1次循環反応
エ 偶然、起き上がりこぼしを足で蹴って音が出ると、繰り返し足で蹴って音を出す。 →第2次循環反応
オ 飛んでいるシャボン玉を目で追う。
正答:2 ウ エ イ
H30前:保育の心理学⑦
平成30年度前期試験 保育の心理学 問7
次の文は、幼児と他者とのかかわりに関する記述である。【Ⅰ群】の記述と、【Ⅱ群】の用語を結びつけた場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
- H君(男児)は、I君(男児)を追いかけている。保育室内を走り回っていたI君が「はぁー、はぁー」と言って大型積木の上に腹ばいになる。I君のあとを走っていたH君も大型積木のところへ来て「はぁー、はぁー」と言って腹ばいになる。I君が「あーぁ、疲れた」と言って起き上がり、大型積木の上に「そーれ」と言って座り直す。
H君も続いて起き上がって「そーれ」と言って座り直す。 →模倣- J君(男児)とK君(男児)は、登園するとすぐに「きのうのつづき」と言いながら部屋の隅で大型積木で囲いを作り始めた。次に「ロケット故障、ミッションコントロール、応答ねがいます」「ロケット修理、はじめます」と言いながら、J君が両手で積木を支え、そこにK君が積木を上にのせて、2人で宇宙ステーションを作りあげた。 →平行遊び
- 保育士が砂場に行くと、数名の女児が容器に砂を入れて小枝でかき回したり、砂を入れたカップに小石やちぎった葉っぱを散らしたり、容器に入れた砂を手でぱんぱんと固めようとしたりする姿が観察された。それぞれの子どもが思い思いに楽しそうにしているが、子ども同士のやりとりはみられない。 →協同遊び
- 園庭に嬉しそうに飛び出したLちゃん(2歳、女児)は、5歳児クラスの子ども達がドッジボールをしている様子をじっと見ていた。Lちゃんは次に砂場に近寄って、4歳児クラスの子ども達が、砂山を作ったり、穴を掘っている様子をじっと眺めていた。
「Lちゃんも一緒にやってみる?」と保育士が声をかけると、もじもじしながら後ずさりして少し離れたところでじっと遊びを見ていた。 →傍観者的行動【Ⅱ群】
ア 協同遊び イ 連合遊び ウ 平行遊び エ ひとり遊び オ 模倣 カ 傍観者的行動
(組み合わせ)
正答:3 オ ア ウ カ
H30前:保育の心理学⑧
平成30年度前期試験 保育の心理学 問8
次の文は、心の理論をもっているかどうかを調べるための課題である。この課題について適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
M児とN児が部屋で一緒に遊んでいた。M児がボールをかごの中に入れた後、部屋から出ていった。M児が部屋にいない間に、N児がボールをかごの中から別の箱の中に移した。M児が部屋に戻ってきたとき、ボールを取り出すために、最初にどこを探すだろうか。
- 正答するには、他者が自分とは違う誤った信念(誤信念)をもつことが理解できる必要がある。 →○
- 自閉スペクトラム症の幼児では、知的な遅れがなければ、定型発達児より早く正答する。 →×
- 正答するには、他者の心の状態を推測することができる必要がある。 →○
- 3歳になると、この質問に対してほとんどの子どもが正答することができる。 →×
正答:3 ○ × ○ ×
H30前:保育の心理学⑨
平成30年度前期試験 保育の心理学 問9
次の文は、発達観についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 子どもは生まれた時からさまざまな能力を有しており、環境に能動的に関わるという発達観は、20 世紀初めに広がった。 →×
- 「できる」「できない」で発達を捉える行為論的発達観と、「できることをやろうとする」「できないけれどやろうとする」という能力論的発達観がある。 →×
- 発達は遺伝のみによって規定されるのではなく、社会・文化によっても規定される。 →○
- 生涯発達において、青年期以降、知的能力は下降すると考えられてきたが、成人期におけるその人の経験によっては上昇する知的能力もあることが明らかにされてきた。 →○
正答:5 × × ○ ○
H30前:保育の心理学⑩
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 10
次の乳児と母親のやりとり場面についての記述を読んで、【設問】に答えなさい。
生後9~ 10 か月頃になると、乳児の認識世界には大きな変化が現れる。乳児を抱いている母親が「ワンワンだね」と指し示すと、乳児は犬に視線を向ける。また、棚の上のおもちゃがほしい時に「アーアー」と言いながら身振りで母親に伝えようとする。
【設問】
次の心理学用語のうち、この記述に示されているものを○、そうでないものを × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 三項関係 →○
- 共同注意 →○
- 共鳴動作 →×
- 情動調整 →×
正答:2 ○ ○ × ×
H30前:保育の心理学⑪
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 11
次の文は、人との関わりについての記述である。A~Dのうち、この記述と関連する用語を○、そうでない用語を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
長期縦断研究によって、自分の乳幼児期の親との関係性の質が、自分が親になった時の子どもとの関係性の質に一定程度、影響を及ぼすことが明らかになってきた。しかしその一方で、乳幼児期に望ましい親子関係を形成することができなかったとしても、適切で継続的なキーパーソンの存在によって、その後の人生において安定的な関係性を築くこともあることが示されている。
- インクルージョン →×
- レジリエンス →○
- アタッチメント(愛着) →○
- ソーシャル・アクション →×
正答:4 × ○ ○ ×
H30前:保育の心理学⑫
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 12
次の【事例】を読んで【設問】に答えなさい。
【事例】
P君(5歳、男児)は、電車のおもちゃで遊んでいる。まず、(A 分類の理解)緑色の電車とオレンジ色の電車に分けて置いた。次に、(B 長さの理解)先頭を揃えて同じ色の電車をつなぎ、一番うしろが揃っていないことをしばらく見比べていた。そして、(C 計数)一台ずつ指でおさえながら、緑色の電車を「いち、にぃ、さん、よん。」と声を出して数えた。続けてオレンジ色の電車を「いち、にぃ、さん、よん、ご。」と数えた。 (D 集合数)「オレンジでんしゃは、ごこ。」と嬉しそうに言った。
【設問】
(A)~(D)の下線部分に関連する語句を、【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
【語群】
ア 高さの理解 イ 分類の理解 ウ 長さの理解 エ 系列の理解 オ 計数 カ 数唱 キ 集合数
正答:1 イ ウ オ キ
H30前:保育の心理学⑬
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 13
次の文は、エリクソン(Erikson, E.H.)による青年期の特徴についての記述である。(A)~(D)にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
青年期を(A モラトリアム)の時代と呼んだ。この用語は、(B 経済的自立)やある種の社会的責任に猶予が認められる期間の意味で用いられている。この期間に青年は職業生活に必要な知識や技術を獲得するだけでなく、内省力が増し、自分を見つめ、積極的に(C 社会的役割実験)を行い、(D アイデンティティ)の確立を模索するといわれている。
【語群】
ア 社会的スキル訓練 イ アイデンティティ ウ 社会的役割実験 エ 心理的離乳 オ アサーション カ 第二次性徴 キ モラトリアム ク 経済的自立
正答:5 キ ク ウ イ
H30前:保育の心理学⑭
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 14
次の文は、保育所での生活習慣の形成に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 生活習慣を身に付けるために、家庭との連携は不可欠であり、食事、排泄、睡眠について連絡帳などで情報交換を行う。 →○
- 3歳以上の幼児クラスでは、午睡をするか、午睡の時間を遊んで過ごすかを幼児自身が選ぶようにする必要がある。 →×
- 子どもの生活リズムの個人差を配慮するためには、ランチルームや午睡室などを設置しなければならない。 →×
- 子どもが主体性を身につけるようになると、自分で判断するようになり、一旦、できるようになった基本的生活習慣行動をしなくなることもある。 →○
正答:3 ○ × × ○
H30前:保育の心理学⑮
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 15
次の文は、保育所における3歳以上児での保育実践に関する記述である。次の【設問】に答えなさい。【設問】
保育士の指導のもとに子どもたちが一斉に活動する場面で、クラスの子どもに期待されることとして、最も不適切な記述を一つ選びなさい。
- 黙って、感情を出さずにじっとしていることを身に付ける。 →×
- 保育士の話は自分だけに向けられているのではないことに気づく。 →○
- 朝の会、給食などには、それぞれの手順があることを知る。 →○
- 場面に応じた話し方があることを子ども自身の発表経験などを通して知る。 →○
- 一対多のコミュニケーションが、一対一のコミュニケーションと異なることを経験する。 →○
正答:1
H30前:保育の心理学⑯
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 16
次の図及び、説明は、「家族と地域における子育てに関する意識調査」(平成 25年 内閣府)における「家族の役割として重要なこと」を示したものである。(A)~(C)にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
図 家族の役割として重要なこと
説明
平成 19 年と平成 25 年において、最も高いのは5割以上の「(A 生活面でお互いに協力し助け合う)」であり、家族の最も基本的機能についての年代の大きな変化はみられない。「夫または妻との愛情をはぐくむ」、「(B 子どもを生み、育てる)」、「経済的に支え合う」は平成 19 年に比べ平成 25 年は、それぞれ10 ポイント前後高い。「(C 基本的な生活習慣や礼儀作法を身につける)」は最も減少しており、保育所における役割が増しているといえる。
【図】
【語群】
ア 生活面でお互いに協力し助け合う
イ 子どもを生み、育てる
ウ 基本的な生活習慣や礼儀作法を身につける
正答:1 ア イ ウ
H30前:保育の心理学⑰
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 17
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
1歳 11 か月の男児。1週間前から保育所に入所した。入所前は、母親が自宅で養育していた。入所初日からためらいもなく、どの職員にも接近してベタベタと身体的接触をし、職員室についていくなどの行動が目立った。その行動特徴は、入所1週間一貫して観察された。この男児には、こだわり行動や言葉の遅れはなく、相互的に保育士と遊ぶことはできた。
【設問】
この子どもと家族に対して保育士として行うべき対応について、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 初めての入所であるため、多くの大人に接近し状況に適応しようとしていると捉え、この男児を温かく見守る。 →×
- 人見知りが少ないことを、他の子どもに比べて成長が早いと、肯定的に母親に伝える。 →×
- お迎えの時の母親に対する男児の行動などをよく観察する。 →○
- 児童相談所などの虐待通報機関に通報を行うかを保育所全体で検討する。 →○
正答:5 × × ○ ○
H30前:保育の心理学⑱
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 18
次の文は、保育所における守秘義務に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 保育士は、「児童福祉法」で守秘義務が課せられている。 →○
- 関係機関の話し合いのあと、個人情報が入った配布資料は、出席者が各自で管理するため持ち帰ってもよい。 →×
- 児童虐待の通告義務は、守秘義務より優先される。 →○
- 保育所が医療機関へ入所児の病気について個別に問い合わせる場合は、保護者の同意は不要である。 →×
正答:3 ○ × ○ ×
H30前:保育の心理学⑲
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 19
次の文のうち、保育士の対応として適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 担当の保育士が代わる場合は、子どものそれまでの発達過程等をまとめ、引き継ぎをした。 →○
- 子どもの体調が悪くないにもかかわらず、たびたび保育所を休ませてしまう保護者を強く叱責した。 →×
- 子どもが登園してきた際、保護者に家庭での様子を聞くようにしている。 →○
- 保幼小連携のため、保育所で小学校1年生の学習参考書を取り寄せ学習させた。 →×
正答:2 ○ × ○ ×
H30前:保育の心理学⑳
平成30年度前期試験 保育の心理学 問 20
次の文は、不登校に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 文部科学省の不登校の定義において、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況があげられている。 →○
- 不登校は、病気により入院治療を受けている場合や、家計が苦しく教育費が出せないなどの経済的な問題による長期欠席も含まれる。 →×
- 「平成 27 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について」(平成28 年 10 月 文部科学省)によると、不登校の要因で最も多いものは「いじめ」であり、過半数を占める。 →×
- 学校における不登校の児童生徒への対応として、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携、教育支援センターやフリースクールなどでの教育機会の確保など、さまざまな支援を検討することが推奨される。 →○
- 「「不登校に関する実態調査」 ~平成 18 年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)」(平成 26 年 7 月 9 日 文部科学省)によると、中学校の時に不登校だった生徒について、20 歳現在で就学あるいは就業している者は 10%以下である。 →×
正答:3 ○ × × ○ ×
H29後:保育の心理学①
平成29年度後期試験 保育の心理学 問1
次の文は、人の発達の様相についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 発達は、遺伝要因と環境要因との相互作用によって規定される。 →○
- 発達の速度には個人差があり、また、発達の順序や経路には文化差があり得る。 →○
- 発達における量的変化とは、増大や機能の向上だけでなく、衰退や機能の低下も含まれる。 →○
- 発達には、ある時期を過ぎると学習が難しくなる現象がみられ、そのような時期について、人では臨界期とよばれる。 →×
正答:1 ○ ○ ○ ×
H29後:保育の心理学②
平成29年度後期試験 保育の心理学 問2
次の文は、成人期以降の発達についての記述である。(A)~(D)にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
エリクソン(Erikson, E.H.)によると、発達段階にはそれぞれ顕在化する(A 心理社会的)課題がある。成人期においても危機的状況に直面するが、否定的要素の(B 停滞)よりも肯定的要素の(C 生殖性)が優位となって課題は達成される。その後、高齢期においても、否定的要素を排除するのではなく、それをも含めて(D 統合)していくことによって課題が達成されるが、そこに至るには大きな困難が伴う、と考えられている。
【語群】
ア 拡散 イ 心理生理的 ウ 孤立性 エ 生殖性 オ 親密性 カ 停滞 キ 統合 ク 心理社会的 ケ 融合
正答:4 ク カ エ キ
H29後:保育の心理学③
平成29年度後期試験 保育の心理学 問3
次の文は、心の理解に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 他者の心は直接観察することはできないが、心の動きを想定する推論の枠組をもつと、他者の行動の予測ができるようになる。 →○
- 「心の理論」の獲得を調べるための方法としては、誤信念課題が用いられることが多い。 →○
- 通常5歳児では、自分自身が知っている事実と他者の知っていることとの区別は難しいが、その後、正しく推測できるようになる。 →×
- 乳児期での保育者とのコミュニケーションを通して、共に注意を向けることや、行為の意図を理解することなどが、心の理解の始まりとして大事な基盤といえる。 →○
正答:2 ○ ○ × ○
H29後:保育の心理学④
平成29年度後期試験 保育の心理学 問4
発達には、発達の方向を社会化と捉える考え方がある。この考え方と対照的な次の説を提唱した人物として正しいものを一つ選びなさい。
人間の発達では、まず初めに社会的関係があり、それが内面化し、心的機能に転化する。
- ハヴィガースト(Havighurst, R.J.)
- ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.)
- レヴィン(Lewin, K.)
- ブロンフェンブレンナー(Bronfenbrenner, U.)
- バルテス(Baltes, P.B.)
正答:2
H29後:保育の心理学⑤
平成29年度後期試験 保育の心理学 問5
次の文は、学童期の発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- マーシア(Marcia, J.E.)は、学童期を心理・性的発達段階の第四段階である潜伏期としており、この時期は心理的問題がみられにくいと述べた。 →×
- 学童期中期の仲間関係はチャムグループとよばれ、相互の意見の違いなどを尊重し合うのが特徴である。 →×
- 一般的に、第二次性徴による急激な身体の変化に伴って心理的に不安定になるが、変化が落ち着くにつれて不安定さは治まっていく。 →○
- LD(学習障害)の子どもは、言葉の指示がわかりにくい、板書を写し取るのが苦手など、学校生活で困難に直面しやすい。 →○
正答:4 × × ○ ○
H29後:保育の心理学⑥
平成29年度後期試験 保育の心理学 問6
次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の用語を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
- 生活のさまざまな場面において、日々具体的な一連の手順を繰り返すことによって、生活習慣の基礎を身に付けていく。 →スクリプト
- 生後9か月前後になると、保育者の視線を追い、保育者が見ているものに目を向けることができるようになる。 →共同注意
- どのように行動したらよいか分からない場面で、保育者の表情や声の調子を手がかりにして行動する。 →社会的参照
- 「今ここにないもの・こと」を思い起こすイメージをもつことにより、目の前にモデルがいなくても似た行動をしたりする。 →延滞模倣
【Ⅱ群】
ア 共同注意
イ 延滞模倣
ウ スクリプト
エ 社会的参照
正答:5 ウ ア エ イ
H29後:保育の心理学⑦
平成29年度後期試験 保育の心理学 問7
次の文は、トマス(Thomas, A.)とチェス(Chess, S.)の気質(temperament)に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 気質(temperament)の特性を、活動水準、体内リズムの周期性、順応性、気分等の9つに分類した。 →○
- 「扱いにくい子(difficult child)」は、生活リズムが不規則で環境への適応が難しいとされているが、母親はその子育てを負担に感じることはない、としている。 →×
- 気質的特性に基づいて子どもは活動を選択し、自分の生活環境を形成する、と考えている。 →○
- 「出だしの遅い子(slow-to-warm-up child)」は、新しい状況や人に対して回避的に反応し、慣れるのも遅く、機嫌が悪いことが多い、としている。 →×
正答:3 ○ × ○ ×
H29後:保育の心理学⑧
平成29年度後期試験 保育の心理学 問8
次の( )にあてはまる用語として最も適切なものを一つ選びなさい。集団の中に入りたいという思いは、幼児期の子どもたちにとってごく自然なことである。
幼児期にみられる欲求を分類すると、愛情をもって養育されたいという生理的欲求、安全の欲求、そして、それらが満たされた子どもは集団に所属したいという所属の欲求、さらに、認められたいという承認の欲求を抱きつつ、幼児期にふさわしい( )へと動機づけられる。すなわち( )は、集団の中で自発的な遊びや学びを通して個性を発揮しようとすることである。
- コンピテンス
- 自己決定
- エンパワメント
- 自己実現
- セルフ・モニタリング
正答:4
H29後:保育の心理学⑨
平成29年度後期試験 保育の心理学 問9
次の文のうち、「保育所保育指針」第3章「保育の内容」の2「保育の実施上の配慮事項」の一部として正しいものを○、誤ったものを × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 一人一人の子どもの生育歴の違いに留意しつつ、欲求を適切に満たし、特定の保育士が応答的に関わるように努めること。 →○
- 食事、排泄、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなど、生活に必要な基本的な習慣については、一人一人の状態に応じ、落ち着いた雰囲気の中で行うようにし、子どもが自分でしようとする気持ちを尊重すること。 →○
- 子どもが自ら周囲に働きかけ、自分の力で行う活動を積極的に促す援助をすること。 →×
- 子どもの心身の発達及び活動の実態などの個人差を踏まえるとともに、一人一人の子どもの気持ちを受け止め、援助すること。 →○
正答:3 ○ ○ × ○
H29後:保育の心理学⑩
平成29年度後期試験 保育の心理学 問 10
次のA~Eは、子どもの運動遊びに関する記述である。A~Eの記述を【語群】の用語と結びつけた場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
- ボールを投げる →操作系動作
- 鬼ごっこで走って逃げる →移動系動作
- 平均台の上を歩いて渡る →平衡系動作
- マットの上で前転する →平衡系動作
- なわとびで二重跳びをする →操作系動作
【語群】
ア 平衡系動作 イ 移動系動作 ウ 操作系動作
正答:4 ウ イ ア ア ウ
H29後:保育の心理学⑪
平成29年度後期試験 保育の心理学 問 11
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。【事例】
4歳児クラスに進級した頃のT君(男児)は思いどおりにならないと、噛んだり、物を投げたり、ひっくり返って泣き続けたりして、仲間とうまく関わることができなかった。
また、活動中に保育室から出てしまうことがしばしばみられた。以下は、T君の6月以降の様子である。
6月:朝の集まりのとき、それぞれが「好きなもの」を発表しあうなかで、U君(男児)が「ボク、T君が好きー」と言った。クラス全員の前で「好き」と言われ、落ち着きなく座っていたT君は慌てて座り直し、姿勢を正して、嬉しそうにしていた。
7月:クラスで乱暴なことをしてしまった時に、そのことを友達に言われても、以前のような激しい行動や大きな混乱は少なくなってきた。
9月:おままごとの最中に、T君は誤ってGちゃん(女児)の袖口に水をかけてしまった。”しまった” というT君の表情に対して、Gちゃんは「いいよ、いいよ、すぐに乾くから」と言った。その言葉にT君は、ほっとしたような表情をみせた。そして気持ちが混乱することなく、おままごとが続いていった。
12 月:ゲームで自分の思いどおりにならないと、今までは泣いて保育室から飛び出してしまっていたが、初めて保育室の入口のところで座り込んでみんなの様子を見ていた。ゲームが終わったあと、保育士がT君のところに行き、「ゲーム、楽しかったよ。
でもT君がいたほうが、もっともっと楽しかったのにな!」と伝えた。
2月:発表会で『桃太郎』をすることになったが、鬼役のなり手がいなかった。T君は自分から「やる」と鬼役をかってでて、クラスの皆から「ありがとう」と言われた。
この頃から、遊びの輪から飛び出していっても、保育士が誘うと自分で気持ちを切り換えて参加してくるようになった。【設問】
次の文のうち、適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 思いもよらない友だちの言葉が、T君自身の自己の理解により好ましい影響を与えた
と考えられる。 →○- 集団の一員としてルールを守って友だちと楽しく遊べるようにと、保育士がT君に言い聞かせたという働きかけが役立ったと考えられる。 →×
- 皆から感謝される喜びを通して、自己概念が肯定的なものとなり、さらに情動を制御できるようになっていったと考えられる。 →○
- T君は他者による評価を自分自身の基準として取り入れ、行動が変化していった。またその結果、仲間からの見方も変わり、さらにT君の自己概念も変化していったと考えられる。 →○
正答:2 ○ × ○ ○