平成31年度前期試験 保育原理 問 10
次の保育所での【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
1歳児クラスの担当保育士が、最近の子どもたちの食事の様子について話をしている。その中で、特にH児について担当のX保育士(以下X)が悩みを語り、Z保育士(以下Z)が一緒に考えている。
X:Hちゃんの野菜嫌いは相当です。先日も、野菜を食べるのを嫌がって大泣きしました。その時は椅子からどうしても降りるといって食事を一時中断したほどです。食事中に室内を歩き回って、テーブルに戻ってきてまた一口食べる、というような状況もあります。食事だけでなく自分が嫌なことに対しては激しく怒ったり泣いたりします。
Z:たしか、ご両親は外国籍の方だったわね。家ではどんな食事をしているのかしら。お迎えの時にでも様子を聞いてみたらどうかしら。
X:はい。この間食事についてお話ししたところ、家ではスープや茹で卵を食べることが多いようです。スープはレトルトのようで、歯ごたえのあるものはほとんど食べさせていないようでした。「野菜はどうですか?」と聞いてみたら「スープの中に入っているから大丈夫」と言っていました。少しずついろいろなものを食べさせるようにと伝えてはいるのですが、なかなかうまくいきません。
Z:それぞれの国の子育て文化も違うから、よく聞いてみて、これからどう関わったらよいか考えていきましょう。
【設問】
H児やその保護者への保育所の対応として、「保育所保育指針」第1章「総則」の1「保育所保育に関する基本原則」(3)「保育の方法」、第2章「保育の内容」4「保育の実施に関して留意すべき事項」、第3章「健康及び安全」の2「食育の推進」に照らし、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- H児の保護者は、1歳児にふさわしい食事について理解できていない。そこで、このままでは栄養や味覚が偏り食事のマナーも身につかないことを理解してもらう必要があるため、家庭での食事のとり方や内容について、繰り返し粘り強く説得する。 →×
- H児は日本語の理解が十分でないために、保育所生活に対して不安があるのかもしれない。そこで食事についてだけでなく、生活全体をもう一度見直し、H児が安心した生活を送れるようにすることから始める。 →〇
- 現状ではH児の食事に時間がかかることを前提として、食事の開始時間を考え、担当保育士が余裕をもって食事に関われるように保育士同士が協力し合って柔軟な体制を整える。 →〇
- H児の食事の内容やマナーについて、日本での考え方を一方的に押し付けないためにも、両親の母国ではどのようなことが一般に行われ考えられているのか、ゆっくり時間をとって話を聞く。 →〇
正答:3 × ○ ○ ○